論文・レポートの問いだけ

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なぜ、あたしンちの母は、駅蕎麦を食べるのに躊躇するのか?

YouTubeで『あたしンち』を観ていた。「母、駅そばっ」*1というエピソードで、たちばな家の母が買い物帰りに電車を待っている間、駅の立ち食い蕎麦のいい匂いがしてきて、一度食べてみたかったのよね〜と店の前まで来たはいいものの、こんな所で主婦が1人で蕎麦を食べるなんて...しかしサラリーマンが続々と注文していく蕎麦がおいしそう...と葛藤しているうちに結局蕎麦を食べることになる。端の席なら誰にも気付かれまいと位置取ったものの、すぐに知り合いの主婦(ミスミさん)に声を掛けられてしまい動揺する。誤魔化そうと言い訳を並べていたら、ミスミさんは「実は、私も気になっていたのよね。でも1人では......」と躊躇するので、たちばな母は「せっかくだから一緒にどう!?」と強引に誘う。2人並んで蕎麦を食べて帰り、たちばな家の夕飯は、サラリーマンがこぞって食べていた「コロッケ蕎麦」が出る、というオチで終わる。

最初に、たちばな母が立ち食い蕎麦を食べようかどうか葛藤しているシーンを観て、私は「どういう理由でそんなに躊躇っているの?」と疑問で仕方がなかった(『あたしンち』はガラケーの時代)。あとからミスミさんが「立ってものを食べるなんて初めて」と言っていて、やっと少しわかった気がした。お行儀の悪いことをしている所を知り合いに目撃されるリスクがある。また、自分の経験についてよくよく考えてみると、前に我孫子駅で唐揚げ蕎麦を食べたとき、次から次へと男性(少年も含む)ばかりが出入りしていて、少食かつ食べるのが遅い自分は、1人で来たら絶対に浮いてしまうな、と思った。店の回転率を下げてしまうだけだ。男女逆にして考えると、かわいらしい雰囲気のおしゃれなカフェとかに、男性が1人で入りにくいのも、同じ感覚だろうと思う。

それにしても、そこまでおいしそうな匂いが漂ってきたら、令和の人間である自分なら躊躇なく立って蕎麦を食べるだろうと思う。少なくとも、立って蕎麦を食べることが、お行儀の悪いことだ、という発想にはならない。たちばな母は、蕎麦屋の前で葛藤しているとき、「男の人はいいわね〜」と言っていた。また、蕎麦を食べているところをミスミさんに見つかったとき、今回たまたま成り行きで食べることになっただけで、今までには一度も食べたことない、ということを必死に説明しようとしていた。『あたしンち』の世界で、仕事帰りのサラリーマンは普通に立って蕎麦を食べるが、買い物帰りの主婦がそれをやるのは憚られ、立ち食い蕎麦を食べたことについて罪悪感を抱き、必死に弁明しなければならないのはなぜなのか?